『SEVEN-BRIDGE』

越えてゆけ  
越えてゆけ
黒の切符を手にした者は 
黒の列車に乗ってゆけ
七つの橋のその向こう  
旅の終わりのその先に
みはてぬのぞみがあらわれる

SEVEN-BRIDGE』はライアーソフトから2005年2月に発売された18禁ADVゲームです。北京からドイツまでを寝台列車で旅する物語、七つの橋を越えていく物語、『銀河鉄道の夜』を彷彿させる宗教的なテーマ等など、九郎太的ツボにはまる前評判に、発売までとても期待していました。実はこれまでずっと未プレイで、やっと先日、プレイしたのですが……。
せいぜい三分の一程度しか完成されてない、というのがぼくの印象ですね。残りはプロットあるいは設定に最低限の台詞をつけただけ。テーマの大きさに対して、「橋の試練」のシーンを七つ分、ちゃんと描き切れていないというのが特に良くないです。
しかし、練り上げられた世界観・歴史観はとても引きこまれるもので(アジア、東ヨーロッパを舞台にされているのも斬新でしたし)、それぞれに数奇な運命によって列車に引き寄せられたキャラクターは魅力的でした。
前半は、物語的にはまだ浅いとはいえ、すぐれたテキストと音楽によって、楽園への逃避行的な旅情のムードが心地よく描かれていて、この時間をずっと続けたい、と思わせるものでした。それだけに今、中途半端に放り出されてしまったこの気持ちを、どうやって補完したらよいのか、と苦悩しています。

この苦悩の体験こそが、作品テーマとメタな部分でつながっているというわけなんでしょうか。主人公たちの苦悩と共通するものなのでしょうか…。

…いずれどこかで、もっと詳しく書きたいです。

『BLEACH』第62話「集結せよ!最強の死神軍団」

http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/bleach/
BLEACH』は相変わらずカッコ良くて面白い。面白いんだけど、設定の使い方がもったいないと思うこと、しばしば。今回もソウルソサエティ篇の黒幕が藍染と判明した次の回早々、隊長連が集結し、一護らのピンチを救ったのはいいけれど、藍染離脱、ソウルソサエティ篇終了、では、せっかく燃え上がった火に消火器を使うようなもの。せめて藍染が、隊長格のなかでは相当に強そうな元柳斎をぶったおすくらいしていって欲しかった。ルキアをかばった白哉は死んじゃうみたいだし、もったいない、もったいなさ過ぎです。(TT)

『銀盤カレイドスコープ』

http://www.sonymusic.co.jp/Animation/ginban/
そんななか、タイムリーな放映だったのがこの作品。昨日が最終回でした。“100億ドルの美貌”を自称する高ビーな美少女フィギュアスケーター桜野タズサが、幽霊少年・ピートに取り憑かれ、二人二脚?でトリノを目指す、という設定を素直に描いて、毎回安定して楽しめました。ラストはピートの昇天による二人の別離だったのですが(こういう物語って九郎太の好みです)、さわやかにまとめてました。ただ、できれば続編で、タズサとピートの関係がもっと進むのを見たい気がします。

クリスマス

女子フィギュアスケート全日本選手権が熱いですね。
自分は安藤美姫をイチオシしてるんですが、天才少女・浅田真央やほかの人たちも世界レベルで見ていて楽しいし、皆トリノにかける意気込みがビンビン伝わってきて、ドキドキしました。

寒風

年の瀬というのに、金がありません。(ToT)
(○○○、早く謝金を振り込めー!)
今回こそ、コミケには“行けない”かも。
ていうか、いつまで行けるんだと。いつまで行っているんだと!
社会人になり、初めてコミケに行って、早や10数年。
会場がまだ晴海だった頃でした…

おっとそんなことより、今日書いておきたいのは、次のこと。
今週はBS2で、要チェックのアニメが目白押しです。
http://www.nhk.or.jp/bs/
『劇場版 カードキャプターさくら』6日(火) 後8:00〜9:22
アリーテ姫』7日(水) 後8:00〜9:45
雲のむこう、約束の場所』8日(木) 後8:00〜9:30
パルムの樹』9日(金) 後7:30〜9:46

雲のむこう、約束の場所』は初めてのTV放映じゃないかな?
こちらはDVDを持っているので、まあいいんですが、『アリーテ姫』に特に期待です。

『蟲師』「露を吸う群」

あこや「なんだか不安でたまらないの。生き神だった頃は、日が暮れ
て、衰え始めて眠りにつくとき、いつもとても満たされた気持ちで、
目を閉じられたのに。今は恐ろしいの。目が覚めても、ただ昨日まで
の現実の続きが待っている。目の前に広がるあてどない膨大な時間に、
足がすくむ。」

ギンコ「お前さん、蟲の時間で生きてたんじゃないかなあ。あの蟲は
寄生した動物の体内時間を同調させるものだったんだ。生き物の寿命
は種によってそれぞれ違うが、生涯、脈打つ回数はほぼ同じと言われ
てる。体内に流れる時間の密度はみな違うってことだ。あの蟲の生涯
はおよそ一日。それをお前さんは毎日味わっていた。」

あこや「そう、それでかな。一日一日、一刻一刻が息を呑むほど新し
くて、何かを考えようとしても追いつかないくらい。いつも心の中が
いっぱいだったの。」

http://www.mushishi.jp/
アニメ版『蟲師』はやはり良いねえ。演出が際立っているわけではないのだが、
原作のテーマを120%表現した好作品に仕上げている。
で、今回のテーマだが、永遠の時間と人間の生きる時間、である。
蟲に寄生されて生き神となったあこやは、ギンコによっていったんは
元に戻るも、ふたたび、蟲の宿る永遠の時間へと帰っていく。それは
現実逃避なのか、良き思い出への回帰なのか。
「もう、いいんだ。あこやが心底満たされた表情をするのは生き神で
いるときだけだったから」
あこやに恋する少年ナギは、ただその事実を受け入れる。
ナギは人として日常を生き続け、あこやは彼の傍らにいながら蟲の生
を行きながら、彼を見守る。
これは『蟲師』全体を貫くスタンスでもある。人間や生き物の傍らに
蟲がいる。生き物の生の底流に蟲達の世界がある。我々はどこかでそ
れとつながっているからこそ、善悪を超えて、蟲の世界に惹かれる。
しかし人間の生のまま、そこに住むことはできない。

ここで思い出すのは、宮崎駿の『風の谷のナウシカ』である。
人間世界の汚れの結果作り出された腐海の深奥に、清浄の地が生まれ、
しかし人が生きられる場所はそのいずれでもなくて、腐海の傍らであ
るという、存在の構図が、『蟲師』のそれと重なるではないか。
「いのちは闇の中のまたたく光だ」。清浄と汚濁の二つが同居する矛
盾こそが、人の生であると看破したナウシカだが、彼女が真に心安ら
げるのは、腐海の森であった。

ナウシカの悲しみを、あこやの切なさを、きっと我々も共有しているのだ。