『SEVEN-BRIDGE』

越えてゆけ  
越えてゆけ
黒の切符を手にした者は 
黒の列車に乗ってゆけ
七つの橋のその向こう  
旅の終わりのその先に
みはてぬのぞみがあらわれる

SEVEN-BRIDGE』はライアーソフトから2005年2月に発売された18禁ADVゲームです。北京からドイツまでを寝台列車で旅する物語、七つの橋を越えていく物語、『銀河鉄道の夜』を彷彿させる宗教的なテーマ等など、九郎太的ツボにはまる前評判に、発売までとても期待していました。実はこれまでずっと未プレイで、やっと先日、プレイしたのですが……。
せいぜい三分の一程度しか完成されてない、というのがぼくの印象ですね。残りはプロットあるいは設定に最低限の台詞をつけただけ。テーマの大きさに対して、「橋の試練」のシーンを七つ分、ちゃんと描き切れていないというのが特に良くないです。
しかし、練り上げられた世界観・歴史観はとても引きこまれるもので(アジア、東ヨーロッパを舞台にされているのも斬新でしたし)、それぞれに数奇な運命によって列車に引き寄せられたキャラクターは魅力的でした。
前半は、物語的にはまだ浅いとはいえ、すぐれたテキストと音楽によって、楽園への逃避行的な旅情のムードが心地よく描かれていて、この時間をずっと続けたい、と思わせるものでした。それだけに今、中途半端に放り出されてしまったこの気持ちを、どうやって補完したらよいのか、と苦悩しています。

この苦悩の体験こそが、作品テーマとメタな部分でつながっているというわけなんでしょうか。主人公たちの苦悩と共通するものなのでしょうか…。

…いずれどこかで、もっと詳しく書きたいです。