『KURAU Phantom Memory』

http://www.kurau.net/index.html
「わたしはリナクス。これが足。これが手。これが声。ああ、広い世界。 お前、天箕創。この体、天箕クラウ。お前は遺伝子提供者、父親」
エネルギー実験の最中、不思議な光がクラウにぶつかり、彼女の体は消失。次の瞬間、光に包まれたクラウが再構成されるが、それは自分自身をリナクスと呼ぶ。リナクス=クラウは成長し、クラウの記憶が次第に取り戻され、二つの人格が混在するようになる。彼女は博士を「お父さん」と呼ぶが、博士は「わたしは混乱している。彼女はまだわたしの娘なのか。それとももう手遅れなのか」と苦悩する。
そんななか、朝の生命の美しさに触れたリナクス=クラウが思わずほほに手を当てる。それは亡き妻と幼い日のクラウとで交わされた思い出のしぐさだった。「これは、なんだ?」と不思議そうな彼女を博士は抱きしめ、涙を流しながら「お前はわたしの娘だ」と初めて受け入れる。

つなぐ命、失われていく記憶、それらかけがえのないものたちの編む悲しみ。それらがほんの十数分のストーリーで絶妙に描かれている。まさに九郎太好みの物語であり、『地球少女アルジュナ』の系統につながる作品でもあると、勝手に位置付けている。

22歳になったクラウの物理法則を超越した戦い振りもいい感じ。CMにも登場した、街の上空にたたずむ物憂げな彼女もいい(CMで観たときは男だと思ってた(^^;)。BGMのピアノ曲が彼女や博士の悲しい心情を映しているが、音楽担当はS.E.N.S.の勝木ゆかりだそうだ。
DVD発売が待ち遠しい作品がまた増えた。