『魔法遣いに大切なこと』
http://www.yume-mahou.com/
今年1月から3月までフジテレビ深夜に放映された。ぼくのなかではかなり評価が低くなってしまった作品だ。
何と云はれても
わたくしはひかる水玉
つめたい雫
すきとほった雨つぶを
枝いっぱいにみてた
若い山ぐみの木なのである
上は宮沢賢治「詩ノート」のなかの一篇で、『魔法遣い』の予告編DVDの冒頭にこの詩が掲げられていることをつい先日知った。
この作品の公式HPが開設されたのは確か一年以上も前だったと思う。よしづきくみちの描く色彩豊かな情景とほわっとした純情そうなヒロイン絵に、“大切なもの”を問うというタイトル。予告FLASHがアップされたのは半年前だったろうか。渋谷の街をバックにピアノの透明感あふれる曲が流れて、ぼくは本当にこの作品に期待をしてきたと思う。
いま、予告編DVDに掲げられた賢治の詩を観て、自分の期待は決して見当違いなものではなかったと思った。少なくとも賢治の詩を使うことを提案したスタッフは、ぼくが期待したものを、この作品に込めようとしていたことを確認できた。
「心をこめて」
ヒロインが魔法を遣うときにつぶやく台詞である。
時にぼくたちは人を裏切り自分を裏切りながらも生きていくものである。
それでも、その時その瞬間に心をこめて、生きていきたい。