ふくやまけいこ

 本棚を整理していたら、ふくやまけいこのわりと初期のほうの作品が出てきた。

 最近の作品はフォローしていないのだけど、彼女は、『ゼリービーンズ』とか『チカチカ☆ミミちゃん』など、折り目正しい、良い子元気少女とレトロチックな舞台の組み合わせを好んで描いていたように思う。

 この折り目正しい少女とレトロな世界の組み合わせって、つまりは、「折り目正しい少女像をイメージできるのは、ソフトフォーカスの効いた過去の舞台」ってことを意味するんじゃないだろうか?

 ふくやまさんのヒロインは、宮崎駿のヒロインにもどこか似ている。宮崎作品はソフトフォーカスこそかかっていないが、登場するメカや建物等、ポイントになる小道具はどれも丸みを帯びて、どこか親しみの持てるレトロなデザインだ。そうして、宮崎アニメもふくやま作品同様、現実そのものではなく、現実と少し位相をずらして存在する、仮想的次元を舞台にしている。

 今、現実世界を舞台に、人の善意が満ちた世界を表現するのは、特に難しい気がする。