『方先生』(朝比奈敦、編集工房ノア刊)
「先生は神様を信じるの」… 「もちろん、信じる。信じてるから生きてるんだよ」… …今まで大人が、真剣に神様を信じるといったことを目 の前で口にするのは、聞いたことがなかった。しかも信じ ているから生きているということは、信じることのほうが 生きていることより大切だということになるはずだ。 その時、ふいに方先生の目の奥に、深い静かな海のよう な安らぎを感じて、迪子は自分の心にふわっと浮くような 喜びが込み上げてきて、知らずに笑って再びうなずいた。 方先生の謎が一つ解けたような気がした。
まったく知らない作家の本を店頭で手にとってそのまま購入するということはめったにしないのだけど、今回はこの帯の引用文と装丁に惹かれるモノがあって、買ってしまった。
子どもにこういう安らぎを感じさせる大人でありたいと、深呼吸してみる。